静句は、生前の櫻子と折り合いが良かった。
二人とも類を見ないほどに破天荒だったし、ウマが合っていたのだろう。
だが。
「お前ら、よくもまぁ仲良くいられましたねェ……まるっきり正反対のくせに」
櫻子は、自分自身が嫌いだった。
生まれが散々だったせいで、強い希死念慮を抱えていた。
緩やかな自殺とかで飲酒喫煙を死ぬほど嗜み、本当に死んだくらいには。
対して静句だが、彼女は自分が大好きだ。
自分がこの世で最も大切で、愛すべき存在と自負している。
だから静句は恋愛に重きを置かず、興味関心もない。
「人は性が絡むと、愛という暴力を振るうもの」と思っているから。
「櫻子ちゃんは死にたがりのわりに強い子でしたからー。興味深かったですー。また会いたいです、できることならばー」
神父が、くわえたタバコの煙を吐き出す。
「会えるかもしれませんよォ、死亡者全員サービスで」
クローバーから聞いた話をそのまま伝えれば、静句は目を瞬かせる。
「まだ成仏してないのですかー?櫻子ちゃんたら」
「みたいですねェ」
「いったい何してるんでしょー?目的は?」
「知りませんけど」
「まあ何にせよ、櫻子ちゃんが出迎えてくれるなら、玉砕覚悟も決まるというものなのですー。ねー?兄ちゃん?」
神父は、何も言わなかった。
静句が不思議に思い、顔を覗き込めば、彼は暗い表情を浮かべていた。
「……俺やっぱ、死にたくねーかもしれません」