ベルトさんが、簀巻き男を無造作にその辺に放った。
床に転がる簀巻き男を見下ろし靴の先で小突くけれど、男はぴくりとも動かない。
死んでいる。
どうもベルトさん、拷問の末にうっかり殺してしまったようだ。
「ベルトさん、敵さんの情報は得られましたですかー」
「おん、そりゃもーばっちりよ。さーて今回のネタは?嫌な情報、クソみたいな情報、殺意わく情報の三本です」
ウケを狙って言っているのかもしれないが、到底笑える空気ではない。
鎮巳なんてわたくしの羽織った着物の袖を掴んで近づけないようにしているあたり、ドン引き通り越して怯えている。
何よりベルトさん自身、憎悪に染まった目をしていたし。
「まず、うちのラッスーがさらわれて殺された理由だけど。やっぱルークと死後婚させるのが目的だったらしいぜ、あのジジイ」
「やはりですかー。こちらの読み通りなのです」
「ただ、その後が問題なんだとよ」
「……?問題……って?」
拷問したササガワさんの弟いわく。
ラスカルを殺したあと、それまでどんな時でもポーカーフェイスだったササガワさんの様子がおかしい。
端的に言えばかなり苛ついている。さらには独り言も言っているそうだ。
例えば、そう……「違う」とか「そんなわけあらへん」とか。
ずっとなにかを否定しているのだという。
「ほかにも情報は?」
「あとは、オズもおかしいらしいぜ。女見ると誰でも喰っちまうんだってよ。カニバリズム的な意味合いで」
「ええ……?なんでそんなこと……」
「女全部がクレオに見えてるんだってよ。食べちゃいたいくらい可愛い、みたいな感じじゃねーのけ」
鎮巳がドン引きコンボ数を増やしている横で、わたくしはフォークをしゃぶりつつ、ただ静かに耳を傾けていた。
「そんなだから、なんか敵さんの方もなかなかギスってるぽくてにゃー。全部ハイジ兄さんのせいだ、って目が物語ってたわ」
ベルトさんは話を終えると近くのダイニングチェアに雑に座った。
だるそうに首を反らし、突き出た喉仏を惜しげも無くさらしている。